企業内診断士が連携し、自らの 枠を超え、幅を広げる ことを目指し活動しています
・多様な業界に所属する会員同士のネットワークを構築できます。
・勤務先の事例紹介やディスカッションを通じて、異業種理解やビジネス現場で役立つ問題解決力が養われます。
・経営診断、補助金申請などの実務が経験できます。実務ポイント取得の機会も豊富に存在!
企業内診断士が連携し、自らの枠を超え、幅を広げることを目指す
企業内診断士が連携し、自らの 枠を超え、幅を広げる ことを目指し活動しています
・多様な業界に所属する会員同士のネットワークを構築できます。
・勤務先の事例紹介やディスカッションを通じて、異業種理解やビジネス現場で役立つ問題解決力が養われます。
・経営診断、補助金申請などの実務が経験できます。実務ポイント取得の機会も豊富に存在!
原則毎月第2金曜(19:00~21:00)に開催し、2023年度入会者を中心に勤務先事例紹介などを発表。
オンライン開催、オンラインと会議室のハイブリット開催のどちらで実施するかは月によって調整。
158回 04月11日(金)
159回 05月09日(金)
160回 06月13日(金)
161回 07月11日(金)
8月休会
162回 09月12日(金)
163回 10月10日(金)
164回 11月14日(金)
12月12日(金) 忘年会
165回 01月09日(金)
166回 02月13日(金)
167回 03月13日(金)
はじめに
BIZREN★通信(39号)を担当させて頂く、右田と申します。
私は、さまざまな業種の企業様において、プロジェクトの推進・管
理の業務に従事しています。また、中小企業診断士として小規模
ながら活動し、これからも本業とのバランスをとりながら積極的に
取り組みたいと考えています。
今回は、私の趣味である「囲碁」について紹介させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
執筆者プロフィール
右田照明(みぎたてるあき) : 2022年中小企業診断士登録
2023年から企業内診断士ビジネス連携研究会に参加。
独立系Sierにて製造業や小売業等のシステム開発プロジェク
トを経験し、現在はフリーランスとして主にプロジェクト管理の
業務に従事。
趣味は、お酒と囲碁と勉強(自分の殻を破る体験に興味・関
心があります)。
2024年04月12日(金) 総会、東京高速道路㈱について
2024年05月10日(金) 東京都 安全・安心補助金申請支援
2024年06月14日(金) 政策金融機関の最近の取り組みについて
2024年07月12日(金) 医薬品産業について、しゃべコライブラリーの紹介
2024年09月13日(金) 鉄鋼業のカーボンニュートラルへの取り組み、メンタルヘルスと労災認定の現状
2024年10月11日(金) 企業内診断士の歩き方、企業診断プロジェクトの案内
2024年11月8日(金) 金融機関における金融規制と資産運用について、副業で気を付ける税金
2024年12月9日(月) AI研修事業「生成AIパーソナルジム」立ち上げについて
2025年1月10日(金) ・変化の時代を生き残れ!AIを活用したシナリオプランニング
2025年2月14日(金) 日本航空株式会社の会社紹介と自社の課題、・社会保険から見た年収の壁
2025年3月14日(金) 海外進出のいろは~中小企業が海外進出する際のtips
人生100年時代に向けて、健康のプライオリティがますます上昇しています。そのような中、厚労省が公表している「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」が2023年に10年ぶりの改訂となり、「筋トレ」が健康寿命延伸にとって重要な役割を果たすことが明記されました。このように近年筋トレは健康に良いことであることが明確になってきましたが、なかなか初心者にはハードルが高いのが現状です。本稿では、筋トレをこれから始める初心者の方向けに、適切な重量設定、セット数、インターバル、トレーニング頻度、種目数など基本的な意識すべきポイントを整理しました。効率的に筋肥大を目指すための基本ルールを一緒に確認していきましょう。
① “反復8~12回”で限界を迎えることができる“重量”を選択
筋肥大を狙うなら、8~12回の反復で限界がくる重量を選ぶことが重要です。
具体的には、最大挙上重量(1RM)の75~80% くらいが目安。例えば、ベンチプレスの1RMが50kgなら、35~40kgの重量でセットを組みましょう。重量が軽すぎると筋肥大に必要な刺激が不足し、何十回も反復しなければならず精神的にキツく、結果的に追い込めないことが多いです。一方、重量が重すぎると反復回数が減り、トレーニングボリュームを確保しづらくなる上、フォームが乱れやすく、怪我のリスクも高まるため初心者にはオススメできません。
② 1種目あたり、最低3セット実施しよう
筋肥大を狙うなら、1種目あたり最低3セット行うことを推奨します。
特に初心者は、1~2セットでは筋肉をオールアウト(エネルギーが枯渇して運動を継続できなくなった状態)させるのが難しいため、ある程度のセット数をこなす必要があります。
とはいえ、セット数が多すぎると後半のセットの質が落ちてしまうことや、セット数をこなすこと自体が目的になり、前半のセットで無意識に手を抜いてしまうということにも繋がりかねないため、はじめは3セットを基本にし、多くても5セット程度にとどめておきましょう。
③ セット間のインターバルは1~3分を目安にしましょう(種目や部位などによって異なる)
次のセットのクオリティを保つためにも、セット間でしっかり休憩することは重要です。ただし、休み過ぎると心拍数が下がりすぎて集中力が切れるなどのデメリットもあるため、適切なインターバルを設定することが大切です。その目安はだいたい1~3分程度です。
脚などの大きな筋肉は回復に時間がかかるため2~3分、腕などの小さな筋肉は回復が早いため1~2分でも次のセットの質を確保しやすい傾向があります。(パワーリフティングの練習などでは、5分~10分などもっと長くインターバルを取る方が有効であったり、例外はあります)
また、息が整い「よしやるぞ」と気持ちが切り替わってから再開するということも重要な考え方です。
実際に試しながら種目ごとの適切なインターバルを見つけましょう。
ジムの混雑時は、休み過ぎて器具を独占しないよう注意してくださいね!
④初心者の方は、1つの“部位“あたり、週に10セットを目安に
初心者の方が筋肥大を最大化するには、1部位あたり週10セット程度のトレーニングが有効とされています(Schoenfeld et al., 2017)※他の研究では異なる結果が出ていたりなど、諸説あり。
初心者の方にとっては、適切な必要ボリュームというものを意識することがまず重要かと思います。
その点、週あたり10セットという数字は、一旦の有用な目安です。
また、筋肉の超回復には2~3日かかるため、10セットを週2回に分けるのが理想的。例えば、月曜日に5セット、木曜日に5セットといった形で2~3日間隔を空けながら刺激を与え続けることで、筋肥大の効率を最大化できます。
⑤種目数は無理に増やさず、1部位あたり1~2種目くらいに絞って、“質“を高めていこう
昔の私のように、筋トレに目覚めたばかりの初心者にありがちなのが、やる気がありすぎて色々な種目をやりたくなってしまうこと。
もちろん、やる気は素晴らしいのですが、振り返ると種目数を絞り、1つ1つの質を高めることが成長への近道だったと感じています。
例えば、私は胸のトレーニングだけで5種目くらい行っていた時期がありましたが、最後の4~5種目目は筋肥大に繋がる刺激になっていなかったと思います。理由は、1~3種目で胸の筋肉をオールアウトできていたはずなのと、後半は集中力が落ち、動作のクオリティも低下していたからです。
上級者になれば、多様な刺激が必要になりますが、初心者のうちは少ない種目でも十分成長できます。
むやみに種目を増やすのではなく、1~2種目に絞り、フォームや負荷を意識して質を追求することを心がけましょう!
執筆者プロフィール
中村 亮太 2023年12月中小企業診断士登録
医薬情報担当者・NSCA認定パーソナルトレーナー・管理健康栄養インストラクター。製薬会社に勤務し、MRとして生活習慣病領域を中心に医師・薬剤師向けに情報提供活動を経験したのち、現在は医薬品のSCM業務に従事。
副業パーソナルトレーナーとして、トレーニング指導や食事指導を多数経験。ボディビルコンテストに出場しており、2024年ベストボディジャパン関東大会では3位に入賞。
あけましておめでとうございます。
簡単に自己紹介をさせて頂きます。昨年5月に診断士登録しBIZRENに入会させていただきました。アニメから映画までエンタメコンテンツを広く手掛けるポストプロダクションの経営企画部に勤務しています。今回は新年最初のニュースレターということで、日本古来の思想から2025年の日本を占うといった視点で書かせて戴こうと思います。
★平安時代の国家公務員
昨年は安倍晴明生誕1100年ということで、映画『陰陽師0』が公開されました。陰陽師とは、平安時代の朝廷に置かれた役所である陰陽寮に所属し、暦を管理したり、学術や占術を駆使し、課題解決したりといった業務に従事した国家公務員です。
中でも安倍晴明はその秀でた能力から、貴族のブレーンとして星を読み、吉凶を占い、進むべき道を指南する最強の陰陽師として様々な伝説が語り継がれています。
この「陰陽師」、企業の社長に寄り添い進むべき道を指南する「中小企業診断士」に似ているような気がしませんか? 今から千年の時をさかのぼり、陰陽師が星を読み、国の行く末を占ったように、令和7年を占ってみましょう。
陰陽五行説とは、自然界のあらゆるものが「陰」と「陽」という対立する二つの原理から成り立ち、それらが「木」「火」「土」「金」「水」という五つの要素(五行)を生成し変化するという古代中国で生まれた考え方です。陰陽五行それぞれに意味を持たせ、生年月日や時間にあてはめ、五行の相剋の関係、方位などを組み合わせ、その人の性格や将来起こりうる出来事を予測します。
では、日本の舵取りを任された、石破茂内閣総理大臣の運勢を見てみましょう。
★内閣総理大臣の運勢
石破総理の誕生日は1957年2月4日。1957年の干支は丁酉(ひのととり)です。「丁」は「陰」と「火」の要素を持ち、柔らかく内向的なろうそくの炎のようなエネルギーを象徴します。「酉」は「陰」と「金」の要素を持ち、鋭敏な判断力や集中力があり、受容的でありながら自分の軸をしっかり持った強さを象徴します。
このことから、石破総理は「火」と「金」が自身の強みとなります。
次に2025年の干支と五行を見てみましょう。
干支は 乙巳(きのとみ)です。「乙」は 「陰」と「木」の要素を持ち、柔軟性や新たな成長を象徴します。「巳」は「陽」と「火」の要素を持ち、活発でエネルギッシュな性質を象徴します。
★2025年日本の運勢
では石破総理の五行バランスと2025年の影響を見てみましょう。相生相克の視点として、木は火を生じ、火は土を生じます。
政治的な影響として、「新しい成長」を象徴する「木」が基盤で、「火」のエネルギーと結びつくことで、リーダーシップが試される年となります。しかし「木」の「火」による加熱しやすい状況が弱みとなり、議論の過熱や対立を生む可能性を示唆しています。
経済的な影響としては、「火」と「木」の影響で、革新産業やエネルギー分野の成長が機会となります。ただし、バブル的なリスクや環境負荷の高まりが注意点となります。
社会的な影響としては、新しいプロジェクトやコミュニティの活性化が進みます。半面、調整力が弱まると混乱の兆しも出てきます。
石破総理が大きな役割を担うとすれば、「火」の資質が国をリードする可能性がある一方で、バランスを取る冷静さといった「金」の影響が鍵になります。「新しい挑戦」と「調整」の年として、慎重かつ大胆な舵取りが必要とされる年となるようです。
★令和時代の陰陽師
十数年前、四柱推命や九星気学といった東洋占星術にはまり、学校に通い一生懸命ノートに書きこんで学んでいた時期がありました。今回、久しぶりにそのノートを取り出し占ってみようと思ったのですが、もしやと思って生成AIに問いかけたところ、いとも簡単につらつらと語るではありませんか! 私の努力と時間を返してくれと思うとともに、時代の進化に感嘆しかりであります。
千年前に渾天儀(中国の天文観測儀器)を操り最先端の科学とも言われた陰陽道で進むべき道を指南した陰陽師たちのように、生成AIを駆使して企業の進むべき道を照らす令和の安倍晴明を目指し、勤勉精励に努めたいと思います。
2025年、BIZRENの皆様が、明るく希望に満ちた幸福な一年を過ごされますよう祈りを込めて。
執筆者プロフィール
野口智美 : ライトノベルの影響から10代より平安時代に心ときめかせ、趣味で雅楽を習い、狩衣装束を着て龍笛を奏でたり、巫女修行に参加したりといった中二病全開の20代迄を過ごす。シナリオライターやナレーターといったランディング期間を経て、現在はポストプロダクションの会社員に落ち着く。中小企業診断士として現実を見つめ、将来を見つめ、企業に寄り添った提案力を身に付けるべく勉強中です。
2024年からBIZRENに参加しております松田と申します。
私は現在、電機メーカーに勤め、監視カメラシステムの事業推
進をセールスとマーケティングの責任者という形で関与しておりま
す。今の会社に転入したのは、2024年2月。昔は、三十五歳の壁
があると言われて、求人数が一気に減るため中高年になってから
の転職が難しいと言われていましたが、時代は変わり、経験者=
即戦力ととらえて、責任者クラスでの転職も活況を呈しています。
私の場合、転職しても入社以来一貫して監視カメラ事業を担当。
履歴書に染められた「監視カメラ」の数々の経験がこうした転職活
動に貢献している反面、それ以外の事業、産業への転職は難しく、
この中小企業診断という資格、また、2024年10月に合格しました
社会保険労務士の資格などを通じて、新たな経験を積み重ねて
いきたいと考えております。
というわけで、今回は、私の社会人活動のベースになっているこ
の「監視カメラ」という事業から通して見る社会について述べてい
きたいと思います。各種経験が豊富な読者の皆様の一興に値す
れば幸甚です。
執筆者プロフィール
松田栄治(まつだえいじ): 2023年・中小企業診断士登録。
大手総合電機メーカー、関連会社へ出向二回、外資企業、
国内最大手事業子会社を経て、再度大手メーカーから関連
会社出向。計7社での多様な勤務経験ながらも事業は一貫し
て監視カメラ。旧知の方からは「今はどちらにお勤めでしたっ
け?」から挨拶が始まる。
2024年は社会保険労務士試験合格。新たに趣味としてドラ
ムを始める。士業活動よりバンド練習にいそしむ毎日・・・。
「超加工食品」という言葉を御存じでしょうか。宇宙食や未来の食べ物を想像した方も多いかと思います。「超加工食品」という言葉は最近になって使われ始めた言葉ですが、実はほとんどの方が日常的に食べており、非常に身近な食品なのです。
超加工食品という言葉は、意味が定義されているわけではありませんが、一般的には「複数の食材を工業的に配合して製造し、加工の程度が非常に高い食品」とされています。代表的なものは、ハムやソーセージ、菓子パン、清涼飲料水、インスタントラーメン、冷凍食品などです(ただし、研究者によって分類方法やルールが違い、一概に言えません。)。
出典:朝日新聞2024年10月18日
代表例を見てもわかるように、超加工食品は食生活において非常に身近な存在です。しかし、これらの食品は製造過程で栄養素が失われやすく、代わりに塩分、糖分、脂肪、添加物が多量に含まれている、という特徴がありす。そして、超加工食品は非常に便利な存在ではありますが、その手軽さの裏で健康への様々な影響が、多くの研究によって明らかになってきています。
超加工食品の摂取と健康との関連性についての研究結果をいくつか御紹介します。
①フランスの研究チームが10万人を超える対象者を10年間追跡調査。超加工食品の摂取量が多いほど、全死因死亡リスク が高まることが明らかになりました。
②イギリスの研究では超加工食品の消費量が多いほど、特に卵巣がんや乳がんによる死亡リスクが高いことが示されました。
③ブラジルで行われた研究では超加工食品の摂取と認知機能の低下との関連性が示唆されました。
④アメリカの研究では、超加工食品の摂取と心血管疾患リスクの増加との関連性が報告されています。特に、心血管疾患による死亡リスクの上昇が顕著でした。
⑤世界各地で行われた複数の研究で、超加工食品の摂取とメタボリックシンドローム発症リスクに関連性が示されています。
このように、超加工食品が健康に与える影響について世界的に関心が高まっています。しかし、日本においては大規模な研究はまだ十分に行われていません。そのような状況でも、東京大学大学院医学系研究科・医学部では研究が進められています。研究成果の一つとして、日本の子ども(3~17歳)における超加工食品の摂取量と食事の質との関連性が明らかになっており、超加工食品の摂取量が多いほど食事の質が低い(野菜、果物、豆の摂取が少なく、菓子の量が多い)という傾向が見られました。
なお、これらの研究は、超加工食品の摂取と様々な健康リスクとの関連性が示されていますが、必ずしも因果関係が証明されているわけではありません。他の要因も影響している可能性もあります。また、個人の体質や生活習慣によっても超加工食品の影響は異なってきます。
健康に様々な影響与える恐れがある超加工食品ですが、摂取を減らすためには、どのようにすれば良いでしょうか。参考までに次の事を気にかけてみてください。
①自炊を増やす: 自炊することで、使用する食材を自分で選ぶことができ、栄養バランスの改善が期待できます。
②加工食品を選ぶ際は表示をよく確認する: 添加物の量や種類、原材料を確認し、できるだけシンプルなものを選ぶ。
③間食は控える: 間食をする際は、果物やナッツなど、自然な食品を選びましょう。
超加工食品は健康を害する恐れが示唆されていますが、入手しやすかったり、調理が簡単だったり、長期間保存出来るといったメリットもあります。健康との関連性もまだまだ研究が必要ですし、超加工食品を食べなければ健康を保てるというわけでもありません。現時点では、超加工食品のメリットを享受しつつ、できるかぎる超加工食品を避け、バランスの良い食事に気を配るのが私たちができる現実的な対応だといえます。
執筆者プロフィール
大宮裕喜(おおみや ひろき):2012年中小企業診断士に登録。
Biz連には2024年より参加。食品業界に30年ほど関わっており、現在は中小食品メーカーを営業面からサポートしている。
趣味は競馬。現在はちょうど秋のG1戦線の真っただ中で、毎週末は予想に時間を費やし、不本意ながらお金も費やしてしまってます。
2024年からBIZRENに参加しております須田と申します。
私は現在、某公的研究機関とその関連会社において、シーズ・ニーズマッチングを生業とする傍ら、細々と診断士活動を行っています。どうぞよろしくお願いいたします。今回は、皆様もよくご存じのフレーズ「技術で勝って事業で負ける」に関して考えてみたいと思います。
参考図書
『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』妹尾堅一郎著
『オープン&クローズ戦略』小川紘一著
執筆者プロフィール
須田洋幸(すだひろゆき): 2021年・中小企業診断士登録。
某公的研究機関に四半世紀以上勤務し、その間、独国在外研究や研究所の経営企画、研究ユニット管理などを経験。
現在は関連会社にて、研究シーズと企業ニーズをベースに研究連携を組成するコーディネート業務に従事。
趣味は、球技崩れの陸上競技部リーダーを発端に、ウォーキングやトレランなど体を動かすこと。その他、昔夢見たフォークシンガーにいつかは・・・。
2024年5月からBIZRENに参加しております吉江と申します。私は現在、某政策金融機関(以下「当行」)において、出融資保証(以下「ファイナンス」)の供与先であるお客様の環境社会配慮の適切性を確認するという仕事をする傍ら、副業で診断士活動を行っています。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、この「環境社会配慮確認」と、関連して最近メディアでも取り上げられつつあるインパクトファイナンスをご紹介します。
◆ 環境社会配慮確認
当行は、ファイナンスを供与する前に、信用力審査や事業評価を行いますが、同時に、ファイナンス対象プロジェクト全てにおいて、環境社会配慮も確認します。具体的には、お客様からファイナンスの要請があると、まず、環境社会へのリスクの度合いをスクリーニングするための所定のアンケートにお答えいただき、カテゴリ分類(主にA、B及びC)を行います。AやBに分類されると、さらに「レビュー」が行われます。大気質、水質、生態系、といったプロジェクト周辺の「環境」や、地域住民・先住民・労働者の人権、文化財、景観といった「社会」に対して適切な配慮がなされているか確認します。不適切な場合は、適切になるよう働きかけ、それでも改善されない場合は、ファイナンスを実施しないこともあります。そして当行のファイナンスは期間が10~20年と長期にわたりますが、その間、環境社会配慮の状況をモニタリングします。
当行は「環境社会配慮確認」のための独自ガイドラインに基づき業務を実施しています。同ガイドラインは、各国の政策金融機関の環境社会配慮確認に関する取り決めである「OECD環境コモンアプローチ」(注1)や、世銀グループの国際金融公社(IFC)の環境社会配慮に関する「パフォーマンス・スタンダード」(注2)も踏まえた内容となっています。
(注1)https://one.oecd.org/document/TAD/ECG(2016)3/en/pdf
(注2)https://www.ifc.org/en/insights-reports/2012/ifc-performance-standards
◆ インパクトファイナンス
さて、「サステナビリティ経営」という視点で見ると、企業は外部環境にある財務資本、人的資本、社会関係資本、自然資本等を利用して事業活動を行い、その事業活動やアウトプットが外部環境に対する正負の影響をもたらします。正の影響を大きくし、負の影響を回避・緩和することが企業に求められますが、「環境社会配慮確認」は、この負の影響の回避・緩和に着目するものです。一方、昨今、正の影響の結果としての社会的な意義の達成や社会課題の解決、すなわちポジティブなインパクトに注目してファイナンスを行おうという動きがあります。それが「インパクトファイナンス(インパクト投資)」です。
The Global Impact Investing Network (GIIN)(注3)によれば、インパクト投資とは、「金銭的なリターンをもたらすとともに、社会的及び環境的なインパクトを生み出すもの」です。そして、インパクト投資には、投資を通じてインパクトを生み出すという投資家の意図が必要で、インパクトの達成や進捗を測定し報告するという「インパクト計測と管理(IMM)」が行われるのが特徴とされています。
1920年代からの欧米における「社会的責任投資」等の動き、2006年の国連「責任投資原則(PRI)」の発表を背景に、2007年に初めて「インパクト投資」という言葉を使ったロックフェラー財団が中心となり2009年にGIINを創設しました。日本を含む世界400以上のアセットマネージャー、アセットオーナー等がメンバーになっています。また、2013年に当時のG8議長のキャメロン英首相の提唱で創設された「G8インパクト投資タスクフォース」(2024年5月にGSG Impactに改称)(注4)は、日本を含む35か国の政府、その他国際機関等がパートナーとなり、調査研究や普及啓発を行っています。
日本でも2014年にGSG国内諮問委員会(注5)ができ、2021年に民間金融機関が「インパクト志向金融宣言」(注6)を発表。そして金融庁による2024年3月の「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」(注7)の公表と前後して、2023年11月に、投資家・金融機関、企業、自治体等の幅広い関係者が議論する場として、「インパクトコンソーシアム」(注8)が設立されています。
(注4)https://www.gsgimpact.org/
(注5)https://impactinvestment.jp/index.html
(注6)https://www.impact-driven-finance-initiative.com/
(注7)https://www.fsa.go.jp/news/r5/singi/20240329.html
(注8)https://impact-consortium.fsa.go.jp/
社会的課題の解決と金銭的リターンを両立しようとするインパクトファイナンスは、日本でもスタートアップ含む中小企業の資金調達手段になりうるか、個人的に注目しているところです。
執筆者プロフィール
吉江 歩(よしえあゆむ)
2024年5月中小企業診断士登録。
某政策金融機関勤務。海外事業(天然ガス、再エネ、船舶・航空機等)向けファイナンスや業務企画、コンプライアンス、IT企画・統制、働き方改革企画等を経験。現在は、環境審査室に所属。
大学時代に母高女子バスケ部の監督をした経験からチームスポーツ全般を見ることと、カラオケ、シャーロック・ホームズが好きです。
今回、BIZREN★通信を担当する吉田樹生(たつお)と申します。2021年5月に中小企業診断士登録し、昨年10月にBIZRENに入会しました。現在、外資系ITベンダーに勤務しつつ、副業で中小企業診断士としての活動を行っています。以後、どうぞよろしくお願いします。
昨年、縁あって「カイゼン(活動)」の普及に取り組まれている某公益財団法人のプロジェクトに参画し、アジア各国の中小企業(主に製造業)を対象としたIoT人材育成に係る教育教材の執筆を一部担当しました。今回は、その経験に基づき、中小企業の「カイゼン」にデジタル技術を取り入れることの有用性と、その場合に適したプロジェクトマネジメント手法として「スクラム」を紹介します。
「カイゼン」にデジタル技術を取り入れるメリット
「カイゼン」とは、日々の業務におけるムリ、ムダ、ムラを排除し、生産性を高めるための活動を指しますが、近年は、IoTセンサーや小型カメラなどのハードウェアの低価格化やクラウドサービスの充実などを背景に、中小企業においても、デジタル技術を活用した「カイゼン」に取り組みやすくなってきました。デジタル技術を取り入れた「カイゼン」を私は「デジタルカイゼン」と呼んでいますが、「デジタルカイゼン」には、以下のようなメリットがあります。
①分析の高度化:IoTセンサーや画像認識技術を活用することにより、精緻なデータを得ることができるため、これまでは把握することが難しかったような細かい単位のムリ、ムダ、ムラを発見することが可能となります。
②効率性の向上:リアルタイムデータの収集と分析により、生産プロセスのボトルネックを迅速に特定し、さらにAIによる自働化などにより、生産活動の効率性向上が可能となります。
③コスト削減:デジタルカイゼンによる分析の高度化や効率性の向上により、不良品の減少、手戻り工数の削減、人件費削減などを通じてコスト削減が可能となります。
「デジタルカイゼン」において有効なプロジェクトマネジメント手法とは
「デジタルカイゼン」を行う際には、アジャイル型のプロジェクトマネジメントが有効です。なぜならば、アジャイル型プロジェクトマネジメントは、「カイゼン」と親和性が高いためです。
「カイゼン」は、日常業務においてムリ、ムダ、ムラを発見して、これらを短いサイクルで、継続的に改善していくことにより生産性を高めていく活動ですが、アジャイル型プロジェクトマネジメントも、短い期間で要件定義、設計、構築、テスト、リリースを繰り返すことにより、プロジェクトを進めていく手法であり、「カイゼン」と共通した特徴があります。そして、そのアジャイル型プロジェクトマネジメント手法の中でも、最も広く利用されているのが「スクラム」です。
「スクラム」は、1990年代に米国人のJeff SutherlandとKen Schwaberがソフトウェア開発のフレームワークとして体系化したものですが、Jeff Sutherlandは「スクラム」のフレームワークを開発するにあたり、その基本概念の多くを大野耐一が確立した「トヨタ生産方式」を参考にした、と言っています。また、「スクラム」という名称も日本人に由来します。野中郁次郎と竹内弘高です。彼らは、1986年にハーバードビジネスレビューに発表した論文「The new new product development game」の中で、競争力の高い企業の新製品開発のプロセスを「ラグビーのようにチームが一丸となって進む」と表現し、この特徴を持つ手法を「スクラム」と名付けました。JeffとKenはこの論文とトヨタ生産方式を基にスクラムを開発したのです。
「スクラム」と「カイゼン」との親和性について
このような背景から、「スクラム」は、その根本的な思想に「カイゼン」と共通する特徴を持っています。
①小さな単位の機能開発と変化への適応:スクラムは、システム全体を小さな機能単位に分割し、1~4週間の短期間で機能ごとに積み上げていくプロセスを繰り返して開発します。これにより、開発要件の変更に柔軟に対応できます。この点は、漸進的な改善を目指す「カイゼン」と共通しています。
②チームの主体性を重視:スクラムは、チームメンバーの主体性を重視します。メンバー各自が自発的に活動し、作業方法を決定することで、生産性と適応力が向上します。カイゼンも同様に、現場の作業者が主体的に活動することを奨励しています。
③透明性とコラボレーションの促進:スクラムは透明性を重視し、プロジェクトの進捗状況や開発内容を関係者全員が確認できるようにします。カイゼンにおいても、透明性とメンバー間の情報共有が重視されています。どちらも、関係者間の活発なコミュニケーションが協力や工夫を促進するという信念に基づいているのです。
④定期的な振り返りによる継続的なカイゼンの促進:スクラムには、定期的な振り返りイベントがフレームワークに組み込まれており、経験から学び、カイゼン活動を進化させる仕組みが備わっています。
まとめ
今回は、従来のカイゼンをデジタル技術により高度化する「デジタルカイゼン」の有用性と、そのプロジェクトマネジメント手法としてスクラムが有効であることをご紹介しました。紙面の都合上、スクラムの詳細には触れていませんが、興味を持たれた方は、「スクラムガイド(2020年11月版)」が公開されている他、関連する書籍も多く出版されていますので、ご覧いただければ幸いです。経済産業省が策定した「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」においても、「労働人口の減少や市場縮小等の課題に直面する全ての中堅・中小企業等にとって、DXの取組は必要不可欠」と謳われています。本稿が、皆様の中小企業支援活動の一助となれば幸いです。
執筆者プロフィール
吉田 樹生 (よしだ たつお): 2021年5月中小企業診断士登録
愛知県豊田市出身。東京都在住。神戸大学経営学部卒。
日系ITベンダーにて海外営業を担当した後,米IT調査会社を経て,現在は米ITベンダーの日本法人に勤務。インド駐在経験をもつ。2021年中小企業診断士登録。ITストラテジスト。
ITとファイナンスを武器に中小企業のグローバル戦略を支援することが目標。趣味は旅行、読書、カメラ、空手。